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ミュージカル「窓のある部屋に暮らせば」オーバーチュアとダンスナンバー
(2023年制作)
※ストーリー上のネタバレを含みます
使用プラグイン
・BBC SYMPHONY ORCHESTRA DISCOVER
【あらすじ】
病弱な少年とゼンマイ仕掛けの少女。窓から見える世界に迷い込んだ二人はさまざまな不思議なイキモノと出会う。
少年の運命の鎖を断ち切る為の冒険が今はじまる。
(公演フライヤーより引用)
青い鳥やアンデルセンの童話のように、主人公が移動してどんどん新しいキャラクターに出会っていくクラシカルな構成のオリジナルミュージカル。キャラクターの自己紹介シーンをはじめ、随所に散りばめられたかわいらしいソングナンバーと、場面と場面を繋いだり一曲で半生を表現したりと抽象度の高いダンスナンバーを、楽しみながら制作させていただきました。
M1「オーバーチュア」は、演者さんが板の上にいてくださるわけではない唯一の楽曲で、でも独立したインストとも違う、他の楽曲とは異なる難しさを感じながら制作した記憶があります。オーバーチュアというものにあまりなじみがなく、どのような役割をもった楽曲なのかということをたくさん教えていただきました。境界線をくっきりとさせる存在なのだと思います。
M6は、場面と場面を繋ぐ転換を主人公たちの移動シーンに見立てたダンスナンバーです。未知の世界へ迷い込むわくわくやどきどきのなかに、ほんのちょっとだけ妖しいなにかが垣間見える、繊細な世界観をもったポップな楽曲にできたかなと思います。
M2は、主人公とヒロイン、そして遡って主人公のお母さんの「これまでの人生」を描くダンスナンバーです。中盤にかけて喜怒哀楽の楽を動的に表現する方法や、設定をどのていど具体的に伝えるべきか、たくさん意見をすりあわせながらの制作でした。チェロってほんとうに魅力的な楽器だと思います。
終盤では、数小節単位で転調をくりかえす不安定なサウンドのなかで、こどもの弾くたどたどしい「きらきら星」だけがハ長調を貫いています。「きらきら星」の音に異物感があって、なにか変な要素のように聞こえると思うのですが、イレギュラーな動きをしているのは「きらきら星」以外のオーケストレーションのほう。劇中でお母さんの存在は主人公たちの敵として登場しますが、彼女の世界になにが起こり、こころにどんな変化があったか、彼女の視点から描かれる場面はこの曲中のみだったということもあり、目に映るものや聞こえる音がどんなふうに感じられるかということを通して、苦しみを印象付けられていたらよいなと思っています。
【テキスト/作詞】石川貴也
【作曲】水野郁子
【製作】舞台創作チームサンリミット
https://sans-limite.jimdosite.com

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舞台作品のサウンドトラック
舞台『召喚アウトロゥ』劇伴
(2023年制作)
使用したサンプルパック
Odyssey、9God、他
↓オープニングソングはこちらからご覧ください。
https://x.com/kyeg_lab/status/1725131865991090380
【あらすじ】
東京で新しく発見された大規模地下遺跡を調査する大学生【ツナグ】は、その遺跡を追う異端の狂信者【シモン】と、シマ(支配地域)を狙う極道【ウシトラ】との戦いに巻き込まれ、遺跡に封印されていた悪魔【ギロチン】と契約し、遺跡=シマを守る戦いに身を投じることになる。
遺跡の地上に一家を構えていた極道の末裔【アシオ】は、命とシマを守ってくれたツナグと兄弟盃を交わす。
孤独を抱え、自分の人生にぼんやりとした不安を抱えていたツナグは、突如現れた不思議な出来事に翻弄されながらも、その新たな人生に飛び込もうとする。
だが、物事はそう簡単に進むわけもなく……
裏切り、騙し合い、そして突然の暴力。その中で信じられるのは、血(盃)を分けた兄弟か、それとも。
極道と悪魔、神に見放された信仰なき地上で、命と誇りと仁義を賭けた戦いが始まる。
(公演フライヤーより引用)
音楽面ではヒップホップカルチャーの歴史、K-POPやラップの種類、制作面では作曲とトラックメイクの違いについて、知らないことをたくさん勉強しながら制作させていただきました。麻草さんの演出では受け手の時間感覚がこまやかにデザインされる印象があり、時間を主要素とする音楽を担当する上で、そうした魅力に見合うお仕事ができるかどうかプレッシャーがありました。
はじめてのことだらけでしたが、マイナーコードがだいすきなので、ずっとわくわくしながら制作させていただいていました。この曲はじんわり暖かみがある、この曲は背筋が寒くなる、この暗闇は濃いけどこっちの暗闇は薄い、湿度は、手ざわりは…というように、感覚をとぎすませてさまざまなディテールを作っていったことが思い出深いです。また、いずれの楽曲でもソングナンバーのモチーフを引用しています。
劇伴❶は、かぞえきれないバトルシーンの大部分でご使用いただいた楽曲です。緊迫感・切迫感を保ったまま、汎用性を意識したミニマルな流れになっています。
劇伴❷は、物語の導入部や、派手なシーンではないけれどぐっと物語が進むような場面にご使用いただいた楽曲。背景音楽だけれど曲中に起承転結を内包し、場面展開が加速して感じられるような雄弁な楽曲になりました。バッハのコラール「主よ、人の望みの喜びよ(Jesus bleibet meine Freude)」を引用しています。
劇伴❸では、インダストリアルというジャンルと出会うことができました。おもに悪夢のシーンでご使用いただきましたが、客入れBGMとしても使用できるものをということで、存在感を抑えながらもノイジーに、こころがざわつく静けさをめざしました。
【テキスト/作詞】麻草郁
【作曲】水野郁子
【製作】リードロニカ舎

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※Logic pro 内蔵音源を使用しました。
朗読劇のサウンドトラック クリスマス・ワールドオーダー
(2021年制作)
【あらすじ】
「サンタクロースが実在しない世界」の訪れをふせぐため、サンタさんは戦っている。だがその戦いがいそがしいせいで、この世界はなしくずし的に「サンタクロースが不在(いな)い世界」と化してしまった。トナカイのルドルフは、かつてサンタが業務提携していた「世界の謎を解き明かしたかのようにみせかけることで実際には世界の謎を守る秘密結社」ホームズ&ワトスン探偵社と共謀し、いつサンタが帰ってきてもいいよう「サンタがいなくてもサンタが愛される世界」の維持に努めている。謎の疾走感に覆われたシリアスコメディ。
【楽曲解説】
(この作品はお仕事で提供させていただいた作品ですが、とくに劇伴音楽については自由に制作させていただきました。)
現代日本で親しまれている「クリスマスの音楽」は、西洋の宗教音楽から出発した楽曲と20世紀米国で生まれた映画音楽とに大別されると考えています。この台本はアメリカのいわゆるB級映画のようなカジュアルなイメージで書いたもので、音楽も後者にあたる楽曲群をアレンジしてまとめることを想定していましたが、大多数の著作権が継続していることにあとから気づいたため、『ジングルベル』を引用したほかはオリジナルで制作しました。金管楽器を前に出し、ウッドベースで主体的にグルーブを作る吹奏楽寄りのオーケストラサウンドです。またM2では(トムとジェリーに登場するような)カートゥーンミュージックに挑戦しました。
行事にまつわる表現全般に言えることですが、ダウンロードフリーの楽曲素材などからも推測されるように、日本におけるクリスマスの音楽的イメージは今日に至るまで限定的であり、既存曲の引用なくして「クリスマスっぽさ」を想起してもらうのはかなり難しいことだと常々感じていました。けれど不可能ではなく、季節行事を表現の題材にすることが多いわたしにとってはとくに、やりがいのある挑戦のひとつです。
【文/劇伴】水野郁子
【画像テンプレート寄稿者】EaseTemp様

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※Logic pro 内蔵音源を使用しました。
朗読劇のサウンドトラックvol.4 雨音にとける
(2021年制作)
【あらすじ】
猟師の村の生き残り・ユメは、兄の形見をさがす途中、猫のような魔物のような弱った生き物を拾った。世界を救った魔法使いの使い魔であるグレイは、消えた主と再会し、とある願いを口にした。目が覚めても、人生は続いていく。
【楽曲解説】
行動的なストーリーで、場面も時間もたくさん移動するので、ぶつ切りにする必要のない、なめらかな転換を感じていただける楽曲構成や起点・終点を意識しました。歩いていた人物が徐々に立ちどまるようすや、意識が遠のいていく際の音の聞こえかたの変化など、視覚情報があるとしたらどんなふうに場面が切り替わるかを具体的にイメージしています。M2が流れるシーンでは物理的な出来事が発生しませんが、このシーンを経てぐっと心の距離が縮まる、時間を共有しているという印象の強いシーンだったので、心が動く音を聞くようなイメージで緩やかに波をつけました。
【文】神田多恵子
【劇伴】水野郁子
【画像テンプレート寄稿者】Power of Victory 様

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※Logic pro 内蔵音源を使用しました。
朗読劇のサウンドトラックvol.3 境界線
(2021年制作)
【あらすじ】
世界を救った魔法使い・レインは、魔法の使えない世界で恋人とすごす日々がもうすぐ終わることを予期していた。事情がのみこめないまま推しキャラと同棲するOL・貴音は、夢のような日々の終わりを夢に見るようになっていた。目が覚めたとき…
【楽曲解説】
ラストシーンを除き、ずっと深夜のシーン、ずっと室内のシーン、そしてずっと距離の近いシーンであることを意識して制作しました。終わりへ向かうカウントダウンのお話ですが、それでいて世界の時間が止まっているような、日々の営みの外側で時間をすごしているような雰囲気が印象的です。前作までの室内楽的な編成に、リリースの長いパッド系を中心にソフトシンセも加え、主観的でありつつも空気を作り空気で終わる曲づくりをめざしました。M2の最初と最後では、鳩時計の音が聞こえてきます。
【文】神田多恵子
【劇伴】水野郁子
【画像テンプレート寄稿者】Power of Victory 様

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※Logic pro 内蔵音源を使用しました。
朗読劇のサウンドトラックvol.2 流星群
(2020年制作)
【あらすじ】
残業三昧の日々を送るOL・貴音は、不可解なできごとに見舞われていた。夢にまで見た推しキャラ・レインが家にいる。なぜか自宅で、当然のように、自分と一緒に暮らしているのだ。きっとこれは夢、目が覚めたら…
【楽曲解説】
四コマ漫画のようにはっきりてきぱきとした展開と、恋愛シミュレーションゲームのようなインパクトのある台詞たちに対し、全力で乗っかっていくロマンティックな楽曲群です。『世界最後の日』から一転し、現実世界でヒロインが働きづめの日々を送っていますが、疲弊や無味乾燥とした側面にはあまりフォーカスを当てず、平凡という要素をめいっぱい肯定するようなあたたかいイメージで制作しました。とくにM0ではヒロインの乗る電車の環境音とともに、ふと力が脱ける、疲れと安心を同時に感じるようなニュアンスで、お客様を作品世界へご案内します。
(アップロードしている楽曲群は、制作当時のデータに音量バランス面で多少の調整を加えたものが多いですが、MIDIデータ破損のため、M4のみ当時のデータをそのままアップロードしています。)
【文】神田多恵子
【劇伴】水野郁子
【画像テンプレート寄稿者】Power of Victory 様

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※Logic pro 内蔵音源を使用しました。
朗読劇のサウンドトラックvol.1 世界最後の日
(2020年製作)
【あらすじ】
世界を救った魔法使い・レインは、ひとり森の奥で研究に勤しんでいた。脳裏に浮かぶのは、世界から消えてしまったひとのこと。使い魔・グレイと言葉をかわすうち、レインは自分が今なにを思っていて、ほんとうはどうしたいのか、感情の奥底へ潜っていく。目が覚めると…
【楽曲解説】
ふたつの世界のどちらかを選ばなければならないという舞台設定ですが、びっくりするような出来事がめまぐるしく起こるような展開はなく、日常のなかで会話が続いていく穏やかでかわいらしい作品です。音楽面では、喜怒哀楽の「楽」をメインのニュアンスとして、喜とも哀とも混同されない具体的な表現をめざしました。また、四分音符のみで構成したM1冒頭のフレーズを始め、vol.1に登場するメロディがモチーフとしてシリーズ全編に登場します。ED曲であるM5では、8bit風の音色で表現したフィクションの世界が現実に呑み込まれるように消えていくようすをイメージしました。
【文】神田多恵子
【劇伴】水野郁子
【画像テンプレート寄稿者】Power of Victory 様